ある日の午後、
ちょうどお客さんの並みが途切れて、掃除がてらみんなで一息ついていたところ、
なにやら店の前に怪しい男が一人、ウロウロしている。
首から下は、上質のスーツを身にまとって、ある意味紳士な感じ。
でも・・・
頭には白いターバンをグルグル巻にして
肌は「
旨チョコミルク」色。
ギョロッとした白目がさらに浮き立つ。
口周りにはひげがビッシリ。
どこから見てもインド人。
男は僕と目が合うとまっすぐこっちに向かってくる。
「落とし穴仕掛けときゃよかったぁ〜〜〜」
と思ったのも後の祭り。気がついたときには店の中に入ってきていた。
「△◎□※@・・・・・・・」
なに言ってるかまったくわからん。
男は流ちょうな英語でまくし立てる
「ナマステ」くらいなら知ってるぞ。
どうやら表にあるテーブルとかイストかを売ってくれないか。ということらしい。
Hanaを家具屋と勘違いしている。
手旗信号のような身振り手振りで美容室だということを伝える。
「オ〜!OK、OK〜〜!」
そのまま帰って行くと思ったら、
男はふと、ロビーラウンジのテーブルの上の「お客様用のお菓子」をめざとく見つけて
おもむろにつかみ取る。
「No!No! It is for the customer!」
と言うと、
「OK〜OK〜!」
と今度の日曜日に髪の毛を染めてくれと言い出した。
そしてメモに「ミミズがのたうち回ったような字」で自分の名前を書いたが全くもって読めん。
さらにお菓子をつかみ取りポケットに押し込んだ。
「バァ〜〜イ!(^=^)ノ""""」
と言って出て行った。
男が出て行った後はまるで嵐の後のような静けさだった。
インドは今、経済的にも今もっとも飛躍しているんじゃねえのか?
カースト制度が未だ深く根付いているから多分、貧困層の人じゃないとは思うんだな。
軽く犯罪じゃねえかよ。
次の日曜日、「旨チョコミルク」は来なかった・・・・