「あんた、たまには部屋の掃除、しんさいや!」
「うるさいのぉ〜〜(メ-_-)わかっとるわい!やるよ、やるやる、や・り・ま・す・よぉ〜〜〜♡♪」
高校生のトモミチ少年がそんな約束守るわけはない。
部屋の中は散らかり放題。
マンガは読んだら読みっぱなし、服は脱いだら脱ぎっぱなし。
そんなもんですよ。
結局の所、母親が見かねて掃除をしてくれる。
「ただいまぁ〜〜」
「おかえり。あんた、結局やらんけえ、やっといたよ。あんたの部屋だけドロボウに入られたみとうにわや(グチャグチャ)になっとるけえね。今度からちゃんと、服を脱いだら掛ける、洗い物があったら洗濯機の横の・・・ガミガミガミ・・・・・」
「わぁ〜った!わぁ〜った。わ・か・り・ま・し・たっ!ちゃんとやるけん、もうええじゃろ?」
部屋に入ると空気が違う。
なによりも床が見える。
ベッドに寝ころんで
『おお、なんか気持ちがええのう。やっぱ、キレイな部屋はええのぉ〜〜・・・・・・・・・』
「・・・・・・・・・?????・・・・・・・!!!!!!!!!!!!っ!」
「ある事」を思い出した。とても重要な「ある事」を。
当時、思春期を迎えたトモミチ少年はご多分に漏れず青春まっただ中。
バイクに遊びに、いろんな事に興味津々。
もちろん女の子にも。
当時は今みたいにコンビニも無かったのでいわゆる「Hな本」はとても入手困難。
だから友達と力を合わせ手に入れる。
明け方、親には
「ジョギング行ってくる!」
東京マラソンの存在すらしらないガキが朝早く集まってお金を持ち寄って「H本の自動販売機」で買ったりする。
回し読みするわけだが、当然、誰かのところでストップとなる。
その内の何冊かが自分の家に「こんにちわ」となるわけだ。
「隠し場所」と言ったところで子供の部屋に大型の金庫があるはずもなく、「天井裏」などの気の利いたスペースもない。
「スイスの貸金庫へ・・・・」
頭の中はほぼマンガ。
結局、なぜかみんな定番の「ベッドの下」が隠し場所になる。
ここなら、読んでいて親が来ても放り込んで隠せるし、取り出すのにも簡単。
その存在を忘れていた。
そして母親が片付け終わった後のきれいになった部屋のベッドに寝ころんでふと、思い出した。
「ベッドの下」の“あの”存在を。
「ガバッ!」
と飛び起きてすぐさまベッドの下をのぞき込む。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あった。
あった、あったよ。あ・り・ま・し・たっ♪
ホッと胸をなで下ろす。
人はなぜ、そんなとき、同じポジション、同じ体制に戻ろうとするのだろう?いや、オレだけか?
同じようにベッドに寝ころぶ。
あ〜気持ちいい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っておいっ!
「ガバッ!」
もう一度飛び起きて恐る恐る「ベッドの下」をのぞき込む。「あること」を確かめるために。
そう、「それ」はそこにあった。確かにあった。
捨てられもせず。
しかし、「それ」はあきらかに自分が読み終わって放り込んだ状態ではなく、「キチンと」積み重ねてあった。
まるでそうじが終わった後の合図のトイレットペーパーが三角に折ってあるように。
母さん。
あのとき母さんは僕に何も言わなかったね。
僕は心の中では針のむしろの上にいたんだよ。
見たんだろ?見つけたんだろ?見ちゃったよな?・・・・・・・・・・・・エロ本。
そう言えば、誰だかが教えてくれた恐い話に「ベッドの下の殺人鬼」の話があった。
その話を聞いてしばらくはベッドの下を確認してから寝るようになった。
不用意に寝てしまい、なんか恐かったときは
「いいから!出てけよ!いるんだろっ!」
って一人芝居したりもしたね。あ〜怖い。
エ○本の話は忘れてね。