僕の友達の話しをします。
正確に言うと、もう友達じゃないのかも知れませんが心底憎めないので友達にしておきます。
彼はお金が大好きです。
「なんのために働いてんだ?」
と質問すると、きっぱり
「金のため」
と気持ちよく答えます。
子供はいませんが奥さんはいました。そう、過去形です。
彼の名刺入れにはいろんな肩書きの名刺が入っています。
水道工事から始まりビルの解体、はたまたデートクラブ。全部で8社くらいの代表取締役をやっています。
本当なら凄い奴です。本当なら・・・・
彼は時々連絡が取れなくなります。いわゆる行方不明ってやつです。
ある時彼は塀の中にいました。
ある時彼は九州の病院にいました。
「男はつらいよ」の寅さんのように時折帰ってきて顔を出します。
いつものパターンは、羽振りのいい話から始まります。
「今度、新しい会社を立ち上げて都の公共事業を任されて断らなければいけないほど仕事が入ってるんだ!」
「そりゃいい話だ。ガンバレや。じゃあな・・・」
「ちょ・・ちょっと待ってくれ!話を聞いてくれ。」
とどのつまり、その支度金を貸してくれとか、保証人になってくれということらしい。
二つ返事でOKしたら。オオカミが羊に「デートしてくれ。食わないから」と言われOKするバカな羊になってしまいます。
「やだよ。おまえ、ブラックだろ?」
「ちがぁ〜〜うよお。メチャメチャキレイだよ。ホワイトだよ〜ただ、第三者の保証が必要なだけだよ。金利分中西君に回すからさ〜 」
「よし、わかった。じゃあ、貸してやる。銀行に行くから付いてこい!」
「ほ?本当?」
歩いて7分くらいの銀行のATMの前に連れて行く。
「よし、ここで、借りろ。」
と銀行のATMの側にある大手ローン会社のキャッシングマシーンの前に連れて行く。
「へ?」
「ここで借りろ。」
「あ、・・いや・・サラ金はまだホワイトじゃないかもしれない・・・・」
彼とはもう3ヶ月くらい会ってない。風の便りに聞くところではまた行方不明だそうだ。
ここで書けないことをたくさんしているらしい。
金のために生きている彼はいったい何を得たのだろうか?
KA-TUNの「Real Faice」でも歌って生きているのだろうか?
おしまい