人間の生まれ持っての恐怖感は実は2つしかないそうです。
一つは「落ちる恐怖」。もうひとつは「大きな音」。
他の「恐い」は後天的なモノで、前述の2つは人間の本能なので克服は出来ないそうです。
それでも
前回お話ししたとおり、ジェットコースターとかの落ちる感覚には殆ど恐怖は覚えない体質になりました。
そんな僕ですが実は恐いモノがあります。
言わずもがな「オバケ」です。
霊感ですか?ありませんよ、そんなもの。零(0)能力者ですから。
「金縛りにあった!」と喜んでたら腕を自分の体の下に敷いていて痺れてただけだったり、そんなもんです。
しかし、長男一人っ子の悲しき性で想像力だけは人一倍発達してしまったおかげでオバケに対する怖さも人一倍です。
ですから、遊園地に行ってもオバケ屋敷には絶対入りません。友達を殴り倒してでも入りたくありません・・・・が友達をそうおいそれと殴るわけにもいかないので、引きずられるように入ります。
「乗り物」に乗るオバケ屋敷なら耳をふさぎ目を閉じてしゃがんでいれば時がくれば終わるのでいいのですが、「自分で歩く」タイプのモノはお手上げです。
以前、那須ハ◎ランドパークのオバケ屋敷で中に「アルバイトのオバケ」に脅かされたとき、「昔取った杵柄」で、反射的に殴り飛ばしてしまって後悔した思い出があります。
後楽園の「楳図かずおのオバケ屋敷」に入ったときあまりの怖さに途中、外の光が見えたので非常口をこじ開け、セットを壊し外に出た思い出も昨日のことのようです。
そんな僕が一度だけ「自分から進んで」オバケ屋敷に入ったことがあります。
当時、20代半ばの頃、当時の彼女と後楽園に行き、彼女が「楳図かずおのオバケ屋敷」に入りたいと言ったので、もちろん、男らしく断りました。
つまらなそうな顔をした彼女を連れて得意のジェットコースターとかあるエリアに移動中の通路に
「恐怖!エリザベート女学院!」
というタイトルが目に飛び込んできた。
一目でオバケ屋敷だというのはわかる。わかるのだが「女学院」という言葉にひかれた。女学院という言葉が最初の「恐怖!」という僕の最も嫌いな言葉を砂嵐のようにかき消した。
「ここ、入ろう!」
彼女は何が起こったのか解らない顔をしてズンズン入り口に進んでいく僕の後を追ってきた。
ここは、人が脅かすやつではなくヘッドフォンをして入り、「真夜中の学校」を散策するという設定。
部屋の入り口にセンサーが付いていてそれに引っかかると仕掛けが落ちてきたり大きな音が出たりするというもの。
「女学院」にひかれて入ったとは言え、中はピンクなものは一切無く、殆ど真っ暗。入って5秒で後悔。
とはいえ、「帰る!」とも言えず、先に進む、何度かセンサーに引っかかり仕組みが解ったので怖がる彼女に
「大丈夫、大丈夫!」
と肩を押して、次の部屋に入る時に肩を押しながらススゥ=〜〜ッと後退。
彼女がセンサーに引っかかり仕掛けがドワァ〜〜〜ッ!と出たときは2メートルくらい後ろなので直撃は免れ、結果彼女の悲鳴だけが部屋中に轟く。
一瞬息を飲むのだがすぐさま0コンマ何秒の早業で彼女の側に立つ。
「大丈夫だよ〜恐がりだなぁ〜〜〜(^.^)」
なんて。そしてそういったトラップが何度か続いた最後の部屋。
トイレのドアが3つあり、明らかに2つはトラップ。一つは出口。当然彼女は
「私、開けられなぁ〜〜い!トモさん、開けて〜〜」
って言われてはい解りましたと開けられるのなら世の中のオバケ全部退治してやる。
頭をロータリーエンジン並みにフル回転させて考えた結果
「わかった、わかった、オレが開けるよ。いいか、付いて来いよ」
と言って彼女の肩を押してドアのノブに手をかける。
パッ!と勢いよくドアを開く。
僕はドアの扉の外。彼女は正面・・・・・。
「ギャァアアアアアアアアアアッ!!!!!」
彼女の叫びが轟く。
「なに、怖がってんんだよ、次々!」
「ギャァアアアアアアアアアアッ!!!!!」
「しょうがないなぁ〜・・・」
最後の扉は堂々と自分が正面で開ける。そこには出口に繋がる明るい光が・・・・。
その後、友達同士で集まったときそのことを暴露したら出席者全員に
「さいてぇ〜〜〜〜〜・・・・」
とさげすんだ目で見られたのはある意味自然な流れなのかも。
おしまい。