「放射能はちょっとくらいじゃあ死にはせんよ。海外旅行行ったりレントゲン撮っても微妙に当たりよるんじゃけえ、そがいに心配せんでもええよ。まだ因果関係もはっきりしとらんしね。」
なんか偉い人がそう言いよるね。
うちのお父さんとお母さんは「被爆者」なんよ。
お母さんは原爆が落ちた次の日、おばあちゃんと一緒にリヤカー押して市内に鍋とか拾いに行ったんよ。
うちの家系はみんな長生きしよるんよ。一番早う亡うなったんも７８歳とかじゃけえねえ。
ほじゃけど、おばあちゃんは４２歳で死んだんよ。死因は「癌」じゃったよ。お母さんは６２歳で死んだんよ。死因は同じく「癌」じゃったんよ。
うちの家系で癌で亡うなったんはこの二人だけなんよ。
父親も６５歳の時、癌で死んだんよ。
偉い人は「因果関係が無い」とか言うけど、これは偶然なんかね？
どんだけ偉い人がいっぱい本や資料を読んで、偉い人同士が集まってあ〜じゃない、こ〜じゃないと言いよるけど、僕の目の前で起こったこと。これは現実で真実なんじゃけえね。
オピニオン（世論）よりファクト（事実）なんよ。
癌は遺伝する言うじゃろ？両親とも癌じゃった僕は正直不安なんよ。じゃから言うて心配ばっかしとっても始まらんじゃろ。ほいじゃけえなるべく食べるもんとか気いつけて、ちゃんと運動もやって後で「ああしときゃ良かった」いうて後悔せんように生きていかんとね。
もし、僕が癌になって「大丈夫」言うた偉い人や政治家の人が変わってくれるいうわけにはいかんけんね。
間違うても二度とこげえなくだらん武器や戦争で不幸になる人だけは増やしちゃいけんよね。それは、オリンピックだの経済だのより再優先されることじゃと僕は思うんよ。
黙祷
