
先日、大阪で地毛が茶髪の高校生が学校から「黒髪」を強要されて、府を相手取って220万円の訴訟を起こしたということがありました。
生活態度や様々な経緯があり、学校側の言い分もあるでしょうから、そのことについての言及は避けますが「茶髪」について、プロの目線で一言お話させていただこうと思います。
キッズカットを長年やってて思うのは、昔と比べて「髪の毛の明るい子どもが増えた」と思います。
お父さんやお母さんのどちらかが外国人(金髪)でハーフではなく、どちらも日本人で、さらに両親とも黒髪でも、明るい髪色の子もいます。
原因は画一的ではないのですが、食生活、生活環境、と様々な要因があるでしょうが、特に食生活が大きく関わってるであろうと言われています。
これを単に「校則違反」として捉えて「黒くしなさい」と言うのには実はとても危険な要素があります。
と言うのは、髪の毛は通常の人で月に1センチ伸びます。当然、2ヶ月で2センチ。上記の写真でもわかるように「分け目」の場合は左右合わせると2倍伸びてるように見えます。いわゆる「逆プリン状態」です。
当然、それを美容室で毎月やるとしたら経済的負担は半端ないです。なので、大抵の場合「ホームカラー」をすることになるのは容易に想像できます。
ホームカラーはとても強い薬で髪の毛に対するダメージも大きいです。
さらにやっかいなのは「染料かぶれ」の問題です。
通常のカラー剤は「ジアミン」と呼ばれる染料が使われます。大抵の人は大丈夫なんですが、ジアミンに対してアレルギー体質を持ってる人が使うと、かぶれて痒くなったり、ひどい時は炎症を起こして腫れたりします。それも塗った場所だけに限らず顔全体が腫れる場合もあります。
僕たち美容師はその辺を考慮して頭皮に着かないように塗るテクニックを使ったり、薬剤も刺激の少ないものを使ったり、天然の染料のカラー剤に変えたりして様々な対応をとっています。
なので簡単に「黒くしなさい」と言うのは実はとても危険だったりするのです。
集団生活を送るためには「ルール」が必要になります。スポーツでも、時代に合わせてルールが変わります。
生活環境や時代が変わるように「校則」も時には見直す必要があるのかも知れません。
子どもの場合、あまり押さえつけると「反発」して、逆走してしまう場合があります。「ツッパリ」や「ヤンキーファッション」、「ギャル」、「ギャル男」など今見ると「ぷぷぷ」と笑ってしまう格好もその「反発」から生まれたファッションなのかも知れませんね。
大人があれこれ言ってこどもを型にはめようとすることに最早意味が無いのかもしれません。
だって子どもは僕たち大人が考えてる以上に無限の可能性を持ってるんですから。
おしまい