子供の頃、薬局を営んでいた祖父が、商工会か何かの会合に行って「電卓」を手に入れてきた。
当時、計算は「そろばん」。
かく言う僕も「そろばん塾」に通っていて、一応1級の検定に合格している・・・・が、もう忘れた。
今で言うと「我が家にPEPPERが来た!」的な感じ。
家族が集まって初めて見る「電卓」というハイテク機器。
とりあえず、「1+1」のど定番の計算をする。
「=」を押すとデジタル表示で「2」と出る。
「おおぉ〜〜〜!!!」
と歓声が上がる。
「2☓3」「30☓7」「250+250」とりあえず、暗算で簡単に答えがわかる計算をしてみる。
だんだんエスカレートしてきて
「2467☓3487=8602429」
・・・・正解なんだかよくわからんがすげぇ〜〜〜〜!!
結局、祖父は電卓よりそろばんの方が信用できるみたいで、僕はその日ずっと電卓をいじっていた。
翌朝、机の上にはバラバラに分解された電卓があった。
どうしても、「中身」を観たかった。「誰が」この機会の中で計算してるのか知りたかった。
電卓よりも、そろばんを信じてる祖父がメチャメチャ怒った。
多分、ぶん殴られた。
怒られるのは分かってたと思う。でも、僕の人生、振り返ると自制心が好奇心に勝ったためしがない。
なので、持ってるものが壊れたら、先ず、「直す」ことを考える。
やったことがなくても直してみる。それでダメなら専門家に頼む。
最近の機会は「コンピューター制御」とかで、基板そのものを取っ替えたり、修理に出すより買い替えたほうが安かったりする。
それでも、「自分で直す」ことができたら一番安上がりだったりする。
これは、「人間関係」もそうで、基本、自分から「壊す」ことはしない。人間関係が壊れるのはちょっとした意思の疎通が上手く行かなかったり、勘違いや、行き違いから生じるものが多く、たいてい、「ありがとう」と「ごめんね」で修復可能だったりする。
最近の人間関係はSNSなどで「繋がってるようで繋がってない」ことが多く、「ブロック」したり「無視」したり、「スルー」したりでいつの間にか疎遠になることが多い気がする。まあ、その方がお互い傷つかず、楽だからね。
でも、道具も人間関係も壊れては直してとつぎはぎだらけで、ちょっとかっこ悪いけどその方がどんな新品よりも「愛着」を感じるのはボクだけでしょうか?
意外と「最新式」のものでなくても事足りるし、年を取れば許せなかったことでも人生の長い道のりの中の小石につまづいた程度で笑って許せることだったりもする。
おじいちゃんには申し訳ないことをしたと思うが、あの時の好奇心はボクの人生に大いに役立ってる。
ありがとう