今、ミヨちゃんはミサキくんのブローの先生をしています。
ミヨちゃんと話したことがある人はわかると思いますが、ミヨちゃんは「説明上手」です。
見たことがあるテレビや映画、ドラマの話をとっても上手に説明できます。中には韓流ドラマの大作の話も5分もあれば、まるで自分が観たかのようにわかりやすく話してくれます。
なので、ブローを教えるのも普通の人が
「こんな感じで〜。こうやってぇ〜〜・・・」
となんとな〜くな「感じ」で教えるところ、
「毛先がハネる原因はいくつかあって、ひとつは根本のブローの方向が・・・」
みたいにわかりやすく、的確に教えることができます。
そんなミヨちゃんですが、ミサキくんと同じような時期は当然ありました。
ミヨちゃんは器用なのでとても飲み込みが早く、「1つ言うと3つ気がつく」タイプで「ある程度の所」まではあっという間にできてしまいます。
ただ、「お金をいただく」という「プロのレベル」は「その先」があります。
これはアマチュアには超えられないレベルの技術です。(とは言え、このレベルでOKを出してるサロンの方が多いかもね)
ここを超えると超えないのとではその後の美容師人生が大きく変わります。お客さんに入りだしてからそのレベルが上がる人はホント少ないです。なぜなら「本番は練習じゃない」からです。
下積みのない芸人さんがたまたま人気が出て、冠番組と持つけどあっという間に消えてしまうのと似ています。忙しい本番をこなしながら練習したり技術を磨くことはほぼほぼ無理ですから。
どれだけ才能のある人や天才と言われる人でも「下積み」と「努力」無しでは届かない場所です。
そして、そんな未熟な技術の先輩に教わる後輩はさらにそのレベルの下ということになります。有名な美容師さんや料理人の店で「実は大したことがない」店があるのはそういう理由からです。
ミヨちゃんも「その先」の手前で足踏みをする時期がありました。
自分の頭の中では出来てるのに、目の前の結果がそのレベルに達していない。そこまでトントン拍子に進んだ人ほど陥りやすい「スランプ」です。
そこまでいくと自分の見る目も肥えてるので、ボクに言われなくても自分でわかります。
ボクはあえて、ここがダメとか言いません。
「どう?自分でどう思う?」
と聞くとミヨちゃんは
「あ〜〜もうヤダ!も〜〜ダメ!」
と、時には泣いちゃうときもありました。(笑)
「じゃあ、もうやめる?ここで良しにする?」
と聞くとミヨちゃんは黙って立ち上がって再びドライヤーを持ちます。そして、涙をドライヤーの風で吹き飛ばしながら練習を再開します。
そこを超えることができたからこそ、ボクは安心してミヨちゃんにミサキくんの先生を頼めるのです。
そして、その技術を「教える」ことで、さらにミヨちゃんの技術も進化します。
「練習」はそれぞれが成長し進化するとても大切な時間なのです。
二人の成長に負けないようにボク(トモ)も頑張らなくちゃ!
ミサキくん、頑張れよ!