この曲をMichael Jacksonが歌ったのが、僕が18歳の頃。
今なら
「ねえ、どのサークル入る?」
「合コンセッティングするから来てね〜♡」
と大学デビューの歳ですが、すでに美容師を始めて四苦八苦していました。
朝から晩まで働いて、仕事が終わったら練習。
みんな帰った後に片付けをして、お店を閉めて、バイクで狭い部屋に帰る。(一人暮らしをしていたので)
人生で一番お金がなかった時期なので、電気もガスも停められて、まあ部屋と言っても寝るだけなので、さほど不自由はしなかった。
テレビもステレオも使えない部屋から聞こえてくるのは外を走る車の音くらい。
かろうじて電池で動くラジカセから流れてくるFMがBGM。
普段はカーテンを閉めないと眠れないくらいの隣のファミレスの看板の灯りに照らされながらバンドを合わせる。
FENから流れてくる「
Rock With You 」 ベッドに体を預けてつま先でリズムを取りながら聴いてた。
辛くも寂しくもなかった。
「生きてる」実感がした。
「TuRurururururu♪」
かろうじて支払っていた電話が鳴る。
彼女が電話口で
「トモくん、電気代払った?え?まだ払ってないの?いらん、ったって冷蔵庫の中だめになるでしょ?え?入ってない?じゃあご飯食べてないの?もぅ〜ヽ(`Д´)ノ」
2〜3分説教されて、晩御飯をごちそうになりに行く。
ペットか?オレは。
同じ時期に発売されたSONYのウォークマンにFENを録音したカセットテープを入れてヘッドフォンをしてバイクにまたがり走りだす。
ちょうど3曲くらい聴いたところに彼女のアパートがあり、階段を上がりドアをノックする。
パジャマ姿の彼女が出てきて
「そんなもん買うお金があるんなら電気代払いんさい!」
僕は一生、女に頭が上がらないんだろう。
恵比寿 美容室 ヘアーハナ
中西トモミチ
