おっさんが絵を描いて
おっさんが音をつけて
おっさんがプロデュースする
今さらながらジブリ作品の素晴らしさには頭が下がる。
デッサンや原画を描く宮崎駿さんの腕にはグルグル巻きのチタンテープ。
腱鞘炎の痛みを押しながらひたすら描き続ける姿は、痛々しくもあり、神々しくもあり、そして、何よりもそれだけ打ち込める姿に羨ましさも感じます。
先日の引退会見の時
「今度こそ本当にやめます」
と話していて、もう、随分前の作品から辞めることを口に出していて、それでも描き続けたのは、身体はもう悲鳴を上げていたのに、それを上回る創作意欲があったのかと思います。
それはまるで満身創痍で戦いに挑むアスリートの様です。
そこから生まれる作品に子ども達は感動し、なにかを学んで、そして憧れるんだと思います。
大人たちは、うがった見方で捉え、
「あれは死後の世界だ」
「環境破壊だ」
「ネット社会の恐ろしさを訴えている」
と口々に言いますが、先日、『崖の上のポニョ』を観た子どもが
「ポニョがずっと人間になりたいって言い続けて、最後に人間になれたのを観て、願い続ければ夢は叶うんだと思ったので、私も自分の夢を願い続けて叶えたいです!』
と眼をキラキラさせて話してました。
それでいいんだと思います。
『作品』は観る年齢、時代、そして真理状況で捉えられ方が大きく変わります。
子供の頃観て感動した作品を大人になって観るとまた違う解釈をしたり、違う立場で観ることができます。
初めて観た人と、何度も見た人がいて、『何度も見た人がすごい』わけでもなんでもありません。
何度も見た人は初めて観た人の気持ちにはなれないからです。
今、僕たちの住む日本は大きな問題を抱えています。
原発問題を始め、年金、税金、社会保障、TPP,戦争と様々な過去のツケがのしかかり、みんな不安を抱えています。
中には見切りを付けて出ていく人もいます。
その中で2020年の東京オリンピック開催が決定し、テレビの中では大きく盛り上がっていますが、中には「穴の空いた船の上でパーティーやってる暇があるのか?」という声も聞こえて来ます。
ツイッター等のSNSでは政府の批判や様々なテレビでは報道されない出来事が飛び交っています。
かと言って、一介の美容師である僕が、汚染水問題を解決できる知恵もなければ力もありません。
未だ、仮設住宅に住んでいる人のケアが出来るわけでもありません。
遠く離れたところから、「あれはダメだ」、「これはダメだ」と言ってる様は野球のプレーや采配にヤジを飛ばす一ファンのようなものかも知れません。
かと言って、無関心でいるのは一番良くないことだと思います。
7年後、オリンピックが開催される頃、今、僕たちの周りにいる、まだ名の知られていない中学生とかがもしかして、金メダルを取ることになるかも知れません。
オリンピックに限らず、未来には、子ども達の夢がたくさん詰まっています。
僕たち美容師は以前、木村拓哉さんが演じた時に「なりたい職業」のトップにいました。そして、「カリスマ」とかいう言葉まで生まれました。
今は残念ながら10位にも入っていません。
でも、今、現役の僕たちが子ども達から観て「憧れの職業」になるように頑張らないと、今、美容師のタマゴのみなさんや、これからなろうとするみなさんの「夢」を壊してしまいます。
美容師は決して「無くならない仕事」です。
人類から髪の毛が無くなってみんなツルッパゲにならない限り必要とされる仕事です。
そして、「キレイになる」、「可愛くなる」、「かっこよくなる」という幸せを作る仕事です。
ジブリの「おっさん」たちは70を越えています。
僕たちなんて、まだまだひよっこです。
お恥ずかしながら彼らほどまだまだ頑張ってません。
日本という国に住み、税金を払い、一国民として、ちゃんと政治にも関心を持ち、
「ありゃダメだ!」
と言いながらも、子ども達の夢と希望になるようにオリンピックを応援しながら、今まで以上に頑張ろうと思います。
ちなみに、僕の好きなジブリ作品は「紅の豚」と「千と千尋の神隠し」です。
「紅の豚」はあの飛行機の曲線の美しさとイタリア・アドリア海の空と海がとてもキレイな世界観が大好きです。
ポルコの名言の
「飛ばねぇ豚は、ただの豚だ。」
にあるように「いいデザインを作らない美容師は、ただのオッサンだ」となるんでしょうねえ。
「千と千尋・・・」は主に音楽が好きです。久石譲さんの繊細な音は何度聴いても心に浸みてきます。
【久石譲・平原綾香 - いのちの名前 ONE SUMMER DAY (in 武道館) 】