先日、テレビで「過去を懐かしむ若者」の特集をやってました。
大学生が集まって、高校時代の制服を着て修学旅行をもう一度やり直したり、
昔の教科書や写真を持ち寄って話しをしたりして盛り上がるそうです。
「懐古法」(かいこほう)と言ってお年寄り達に車座になって貰い、昔の道具(洗濯板とか古いカメラとか)を見たり触ったりして昔の話しをしてもらうってやつなんですが、それをするとお年寄り達は気持ちが昔の若かった頃に戻って活き活きして元気になるというものです。
今はそれを若い人がやってるそうです。
インタビューで彼らが言うには、
「自分たちはバブルも経験してないし、生まれたときから不況で、今は就職難で、未来には不安しかない。せめて何も考えず楽しんでいた昔に戻って元気になりたい」
そんなことを言ってました。
よく、「もし、タイムマシンがあって戻れるならいつがいい?」という質問とかしますが、たいていの人は「中学・高校」と答えるみたいです。
まあ、「責任」もまるっきりありませんし、自分の生活は親任せでしなくちゃいけないこと(勉強)も親にケツを叩かれながらやって、ちょっと頑張ったら誉めて貰えて、よほど部活とかですごい成績を残してる人以外はハードルなんてありませんから。そりゃあ楽でしょう。
僕個人は「過去に戻りたい」と一度も思ったことはありません。
大成功の人生を歩んできたわけではありません。失敗も後悔も人一倍しました。
「やり直したい」ことも数え切れない程あります。
特に人に迷惑を掛けたり嫌な思いをさせたことはむしろ、その時代に飛んでいってその時の自分に後ろから一発蹴りを入れてやりたいと思ったりします。
それでも「過去に戻りたい」とは思いません。
今、そこそこに幸せを感じてますし、いい人達と出逢うことも出来ましたし、いい人に囲まれてるとも思ってますから。
それに、過去に戻ったところで結局自分ですから同じ選択肢をしちゃうでしょうから。(笑)
大人になって修学旅行に行くと、当時より少しお金も知識も興味もありますから、そりゃあ楽しいですよ。
でも、当時は修学旅行なんて「連れて行かれてる感」満載で、古い寺や仏像なんざに興味は微塵も無く、
楽しみと言えばバスガイドのお姉さんに気に入られようと猛アタックした夜、ガイドさんが運転手のおっちゃんと、旅館の駐車場で「チュウ♡」してるのを見てしまい、翌日、九州の阿蘇山に行ったとき、バスの中ガイドさんに冷たくしてたら担任の先生に怒られ、ひとりで「山脈ハイウエイ」の歌をガイドさんに教えて貰ってひとりで歌わされたことが今でもトラウマになってたり、
小遣いなんて微々たるモンで、当時は風習で先輩に「よその学校とケンカして校章取ってこい!」と言われてたので、小遣いが木刀に消えたり、京都で生八つ橋をお土産に買ったら、あまりの美味しさに返るまでに胃袋に全部ぶち込んでしまったり。
ガキの頃は「無責任」だけど、それなりに「不自由」で、まあ、今のお坊ちゃんたちみたいにお母さんに欲しいだけお小遣いもらえたり、いろいろ買って貰えたのならそれはそれで楽しいんだろうけどね。
一人暮らしなんて18歳のころからやってたから、もう貧困でしたよ。ここじゃ書けないくらいにね。
再びそこを通る気なんて更々ありませんよ。
よく昔買えなかったものを「大人買い」したり、当時マジメに暮らしていて弾けることがなかったから復刻版のディスコに行ってみたり、お姉ちゃんと恋愛にはまったりするけど、
やはり、それは「若い頃やるからいい」のであって、なけなしの金で買うから嬉しかったり有り難みがあったり大事にしたり、当時「最先端」だったから楽しかったのであって、金や地位に頼らず気持ちと行動と思いやりでぶつかるから恋愛で成長したりするわけで、「過去を取り戻す」ことなんて所詮無理なんですよ。
修学旅行やり直してる大学生も楽しんでいるのは「今」なんで、どれだけ過去を懐かしんでも全て「今」やってることだから、楽しいのは「今」なんですよね。
そしてその「今」が積み重なって出来るのが「未来」なわけだから、未来が明るくなるか、楽しくなるかは「今次第」ってことですね。
どれだけ昔をなぞっても、所詮「今」だからもっと新しいことをしましょうよ。
「Back to the past!」
じゃなくて
「Back to the future!」ですよ。
と、言いつつ、引越の時に子供の頃買ってもらった本が捨てられず読んじゃったりしてます。
おしまい