こいつと出逢ったのは、オレが中学3年生時、転校していった先の中学校の春だった。
転校したてで馴染まないオレに一番最初に声を掛けてくれたのも、こいつだった。
家も近かったので、よく遊んだ。
こいつの家の卓球台で遊んだ。
スーパーカーブームの時、「ポルシェの排気音」を延々と聞かせてくれたのもこいつだった。
いろんな悪さをした。
うちに泊まりに来て、隣のお姉さんのパンツを4階のベランダ越しに盗んだのもこいつの仕業で、
しばらくして、お隣は引っ越して行った。
彼女の取り合いで雨上がりの駐車場で殴り合ったのもこいつで、
当時から太ってたので、オレにタックルして馬乗りになって、こいつは泣きながらオレのことを殴っていた。
二人ともまだガキだったので、自分の思ってることが上手く言葉に出来なくて、
彼女のことが好きだし、友達も好きだし、でも、どうしようもなくって、
「んじゃ、ケンカで決めようで!」
となり、他の友達に間に入ってもらいケンカすることにした。
実は、当時、「少林寺拳法」を習っていた。
ケンカも好きだったから、前の学校で散々やってきて頭の中で「どうすりゃ勝てる?」ってことばかり考えていた。
でも、こいつとのケンカには一切それを使わなかった。
だって、友達だから。
上になったり、下になったり、砂利で傷だらけになるは、泥だらけになるわで、もうしっちゃかめっちゃか。
途中で友達が入って来てくれて、
「もうええじゃろ。」
となって、そいつの家の駐車場のホースで身体を洗った。
それ以来の「親友」。
大人になって、オレも引っ越してしばらく会ってなかった。
いろんな免許や資格を取るために自衛隊に入った話しを聞いた覚えがある。
沖縄の基地で野球ばっかりしてると、言ってた。
そのうちオレが上京して、
久々に帰ったとき連絡をしてみた。
こいつはもう2度も離婚をしていた。
一度目は同じ中学の同級生と。
2度目はよくわからん。
広島でBARをやっていた。
いつだか、いきなり東京に来て
「大事なレコードを売りに来たから2〜3日泊めてくれ」
と言って一月もいた。
後で解ったのが、騙されて、店もなんもかんも無くなってスッカラカンになっておまけに借金までしていた。
それからプロパンガスの運搬を早朝から始めて
頑張って借金を返してやっとの思いでまたBARを開いた。
ちょっと前に帰ったとき、最初の嫁と三人で飯を食った。
広島の人間は話しを「かぶせる」ので、自分がぶっこまないと永遠に喋る時はやってこない。
ノンストップで2時間、ずっと喋りっぱなしだった。
いろいろ迷惑かけるやつなのだが、どこか憎めない。
そういう男。
津村直樹。(ツムラ ナオキ)
今発売中の男性ファッション誌「UOMO(ウオモ)」1月号の175P「人はなぜ歌うのか」で、こいつの店「デラックス`70」が取り上げられた。
場末のビルにミラーボール。まさに`70S。
広島の夜は早い。
夜8時になると繁華街のシャッターが下りる。
みなさんが広島に観光に行ったときは是非、こいつの店に顔を出してみてください。
一度行ったら「常連」ですから。
映画マニア、音楽マニアのデブが笑顔でお待ちしています。
デラックス`70
広島市中区銀山町13-13 シャトレ3ビル2階
082-249-1970