雨雲に包まれた東京タワーの光は辺りのビルを包み込むように柔らかく照らす
この街の顔はいくつあるんだろう
高速道路の下でうずくまって寝ている男がいる
そのすぐ横を白いベントレーが派手な女を助手席に乗せて走り去る
いろんな国の言葉が飛び交う
胸元の大きく空いたタイトなワンピースが男を誘う
すれ違いざま、安っぽい香水の強い香りが僕の鼻に襲いかかる
暗い地下への階段に吸い込まれそうになる
酒に酔い
夜に酔い
午前零時
この街の夜はまだ始まったばかり
そして僕はウォーターサーバーに入れる水と
明日の朝のパスタを買いに来ただけ
おやすみなさい