僕たち「美容師」という仕事は基本「待ち」の仕事です。
自分から「ピンポ〜〜ン!♫」と営業に回ることはあまりありません。
駅前でビラを配ったり、安売りのクーポンをでお客さんを呼んでるお店とかは
次から次へと値引き目当てで来る大量のお客さんを、とにかく「こなし」ていくだけなのでよいのでしょうが、
Hanaみたいなお店は一度来てくれたお客さんに「また来てもらいたい」店なので、「こなす」仕事はできません。
しっかりカウンセリングをして、お客さんの髪の毛の悩みや好みを聞いて理解して、プロの目で見て判断し、アドバイスをさせてもらって、
丁寧にシャンプーして、気持よく過ごしてもらって、家でも手入れしやすいように仕上げるのが仕事です。
いつも思うのですが、僕たちとお客さんの関係は「細い糸を延々と紡ぐような関係」だと思っています。
学生時代の友達のように、「たまたま一緒だった」とか恋人同士のように「好きだから」で続く関係じゃなくて、
毎回、毎回、常に新しい気持ちで、季節や次期や気分や時代に合わせてデザインや色を提案します。
「いつもの」と言われても、若干ボリューム感やシルエットを変えたりします。
そうして、毎回新しい糸でお客さんとの関係を紡いでいきます。
お客さんには常に「行かない」という選択肢があります。
Hanaはお店のある恵比寿だけでなく、他府県からのお客様も意外と多くいらっしゃいます。
お客さんのお家からHanaまでの間にはもう、数えきれないくらいの美容室があります。
「便利」だけで選ばれてると当然来てもらえません。
恵比寿だって、ひとつの通りに何件も美容室があります。
みんな「わざわざ」来てくれてます。
だから僕たちも「わざわざ」に答える仕事をします。
僕が東京に来てから初めてお客さんになってくれて、未だに来てくれてる人もいます。
お店が変わってからも、行く先々で出会ったお客さんも未だ来てくれています。
10年前、Hanaをオープンさせてからのお客さん、お友達の紹介で来てくれたお客さん、なんとなく、店の前を通っていて、なんか気になってきてくれたお客さん、
特に気にしてやってるわけではないのですが、
いつもお見送りするときにお客さんの背中に
「またね」
と言います。
「またカットしたい」とか、
「また来てほしい」とかじゃなくて
「また逢いたい」
って思います。だって楽しいんだもん。
僕は、大切な人と別れるとき、
それが
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
だとしても必ず笑顔でいるようにします。
直前まで喧嘩してたとしても、別れるときは必ず笑顔でいるようにします。
仮にこころのどこかに、まだわだかまりが残っていたとしても、
問題がまだ解決してなかったにしても、一時休戦、気持ちを切り替えて笑顔でいるようにします。
別れた後、もし自分が、もし相手が、事故とか急な病気とかで、もう二度と会えない人になったとき、
最後に見た顔が笑顔じゃなかったら絶対に後悔するからです。
喧嘩なんて些細なコトが原因だったりします。
その程度で一生後悔したくないからです。
お客さんならなおのこと、一度髪の毛を切りに来てくれたら長い人なら2〜3ヶ月も会えなかったりします。
その間、お互いに幸せでいることを願って笑顔でお見送りします。
大げさかもしれませんが、僕にとって、とても大切なことなんです。
お客さんのことを、ふと、思い出すことがあります。
その人と話した会話のセンテンスがふと頭に浮かんだ時とか、
お客さんが「好き」と言ってたものを見た時とかに思い出したりします。
その時の顔が「笑顔」の方が思い出して楽しいんですね。
とはいえ、それを毎日意識してやってるわけでもなく、
長いことやってる間に、なんかそれが自然に習慣になっているだけです。
なので、「明日」がいつも楽しみです。
今週のお花は「ネリネ」。
彼岸花に形が似ています。ピンクの可愛いお花です。
花言葉は「幸せな思い出、また合う日を楽しみに」。
それでは、またね。(^_^)/~