実はもう、今年でまるまる30年になります。
美容師になって。
思えば17才の時、広島の空の下で「早く働いて母親を楽させたい」の理由だけで選らんだ商業高校に通って1年が過ぎ、
卒業していった3年生の就職先を聞いて悩んだ。
銀行、公務員、etc・・・
たいていの会社がどれだけ長く働こうが大卒の人の方が初任給も良いし、出世もする。もちろん収入もいい。
子供だった僕には「大学生=遊んでる人」としか見えなかった。
だから
「4年間、会社のために働いて、仕事に向き合ってるのに、遊んでた人に卒業証書だけで抜かれるなんて納得できん!」
そんな思いで考えたあげく、「自分の城を持つ」道を選んだ。
学歴関係無しに認めて貰える仕事。
僕が選んだのは「美容師」でした。
そう決めると、いてもたってもいられなくて、高校2年生の夏休み水泳で国体に出場し、3位という結果を残し、それまでやってきたこと全ての結果を出して2学期早々、先生に退学を申し込んだ。
母は最初驚いていたけど、
「あんたがそう決めたんなら頑張ってみんさい」
と言ってくれた。
行きつけの床屋で知り合いの美容室を紹介してもらった。
そこは女性ばかりの小さな店だった。
面接の時、オーナーの先生が
「最近は男の美容師さんもけっこう増えたけんね〜。私の知り合いの先生も男で、そこはめちゃくちゃ厳しいスパルタじゃけど、うちは心配せんでもええけんね〜」
という言葉に二つ返事で
「すいません、その男の先生の店、紹介してもらえませんか?」
と頼み込んで、僕の美容師人生はスタートした。
今年の10月であれから30年が経つ。
途中、通信教育で高校に通ったり、
人より先きにスタートを切った分、いろいろ後戻りしたり、足踏みしたり。
恋をしたり、失恋したり。
不安で眠れない夜を何度も過ごし、
「夢なら覚めてくれ!」
と何度も挫折しへこんだり。
紆余曲折を繰り返し、気がついたらこんなに時が過ぎていました。
どんなに不器用でも「ひとつことを続ける」。
一見遠回りに見えて、実はこれが一番の近道なのかも知れません。
そして嬉しいのは、30年が過ぎようとする今でも新しい発見があり、自分が成長していると感じること。
未だ一度もこの仕事を「辞めたい」と思ったことがないこと。
何よりも多くの人に必要とされ、喜んでもらえること。
世の中の右も左も解らなかった17才の夏に選んだ道をずっとずっと歩いてきたその先にHanaがありました。
そのころの僕は自分の城に「Hana」と名付けるなんて想像も出来なかったと思います。
続けてきて本当によかったと思います。
きれい事ではなく、本当にみなさんのおかげだと思っています。
今までお世話になりました。
そして、これから先もす〜〜っとお世話になります。
もし、タイムマシンがあって不安に心を閉ざしている僕に会ったら、
「大丈夫だよ。大して金持ちじゃないけど、いい美容師になってるよ。」
と教えてやろうと思います。
今週の花は「サンシュユ」。
中国・朝鮮半島原産の花。
実は、食用・滋養強壮の漢方薬として使われ、「ユン○ル黄帝液」にも配合されています。
花言葉は「持続」「耐久」「強健」。
「継続は幸せなり」