僕の母が描いた絵手紙です。
母の母、つまり僕のおばあちゃんは、名前を「ヲゲンさん」て言います。
呼びにくかったから普段は安子さんと呼ばれていたそうです。
ヲゲンさんは僕が生まれてたときにはもうすでに亡くなってました。
死因はガンなのですが、
原因は母が以前話してくれたところによると
広島で原爆が落ちた次の日に母と一緒に市内に誰かを探しに行った時、被爆したんじゃないかってことです。
当然ながら、僕の母にもお母さんがいて、そのまたおばあちゃんにもお母さんがいて
とどのつまり、みんな誰かの子供だったわけで、
学校や会社、そして集団の中では優劣というものがあるかもしれないけど、
ひとりの人として見れば大して変わんないんじゃないかって思います。
母がリンゴを描いたとき、
おそらく母の脳裏に残るおばあちゃんとの思い出が蘇ったんでしょう
多分それは、おばあちゃんが美味しそうに紅玉りんごを食べてる姿だったんでしょう
紅玉りんごと言えば、酸っぱいりんごで、それでも、おばあちゃんにとって御馳走だったんでしょう。
技術が進化した今ではもっと甘いリンゴがあるから、おばあちゃんに食べてもらいたいなあ。
そうだ、今度のお墓参りの時にお供えしようっと。
こうして家族や側にいてくれる人との思い出が多ければ多いほど、離ればなれになっても、ふとしたときに思い出すことが出来ます。
僕にとっては紅玉リンゴはただの酸っぱいリンゴで店先に並んでいれば、もっと糖度の高いものを選ぶか、
もらったとしたらジャムにするがなんだけど、
おばあちゃんとの思い出がある母にとっては、そのひとつのリンゴはおばあちゃんとの繋がりなんでしょうね。
そして、描き終わった後、そのリンゴを食べて、おばあちゃんと同じ体験が出来る。
「スッぱぁ〜い!」
と思っても多分、母の心の味覚はとても甘く感じていたのでしょう。
【上段中央がおばあちゃん、そして右下が僕の母です。可愛いでしょ♡】