「トモさんは年収いくらですか?」
そう聞いてきた大学生の男の子がいたね。
「うん低いよ。多分、うちのスタッフの中では一番低いんじゃないかなあ」
そう答えといた。
そんなことを聞いた彼の瞳はこれから始まる未来に向けて輝く・・どころか、不安そうだった。
いろんな雑誌やメディアで「目指せ!年収1000万円!」とか、タレントさんが「年収4千万円以上じゃないと〜」とかよく言ってたな。
まあ、金があるに超したことはないよな。
みんな給料のいいところへと流れていくんだよな。
そう言えば、誰かが中国って昨日までクーラー作ってた人たちが時給が1円高いという理由で次の日にはストーブを作る工場で働いている。
だから、いつまで経ってもクォリティの高い製品が作れないんだと。
東京は、やたらと転職する人が多いね。
「転職支援」って会社もあるみたいだし。
美容師だって同じ職場に1年ともたない人がわんさかいるね。
だから経営者も育てたりするのが面倒だから「派遣美容師」とか雇っちゃったりするんだね。
そんでもって不景気になったら「はい、サヨウナラ」ってことなのかね。
確かに不況の荒波に飲まれそうな船に、「自分の利益のことだけ」考えてるやつにオールや舵は任せられないもんな。
「広島の路面電車の車内。なんか暖かい感じがするじゃろ?」
昨日、「広島県民は明るいよ」って話をしたけど、ホント、どこに行っても明るい。
どんな仕事をしてる人も明るいし優しい。
地方はもっと不況なのに、明るい。
なぜかって彼らは「お金のために働いてない」から。
僕が泊まった小さなビジネスホテルで働く女の子はお客様とすれ違うと終始笑顔。
コンビニの女の子もレジを打ちながら
「今日は寒いですね〜今年一番みたいですよぉ〜」
と話しかけてくる。
彼女たちの笑顔の元、それは「プライド」だと僕は思います。
マニュアルでは出せないあの笑顔は上司や店長に「笑え」と言われたのではなく「自分で」笑顔を出しているね。
彼女たちは「時給いくら」、「年収いくら」の仕事をしてるのではなくて、「自分で選んだ仕事」をしてるんだね。
だから頑張るのは当たり前。なんにも迷ってない。
そしてそこに訪れる人たちは彼女たちを必要としている人たち。
だから彼女たちはお客さんに笑顔でいられるんだね。
お店で質問とかすると、待ってましたとばかり答えてくれるよ。
「え〜・・わかんないですぅ〜〜」なんて言わない。
解らなければ調べてくれる。
どんな仕事もやりこめばプロフェッショナルになれることを経験で感じているんだね。
小さなホテルの従業員がメジャーなホテルの従業員に対してコンプレックスを感じているかと思うと意外にそうでもない。
それぞれが自分で選んだ仕事を一生懸命やってるだけ。
仕事を離れれば勤め先が大企業だろうが、工事現場だろうが、関係ない。
そんな人はどんなに偉くなってもコンビニでモノを買ったとき
「ありがとうございます。」
が言える人。
決して「お金の奴隷」にならない。
広島という街はもしかしたら僕が忘れかけていた大切なことをちゃ〜んと想い出させてくれた。
対面式のイスのある電車の中で空に舞う雪を見ながらそんなことを考えていた・・・
おしまい
「家の軒下に張ってあった。なんか正しいこと言うとる?と思ってパチリ」