ヘアサロンで働く「美容師」と撮影やイベントの「ヘアメイク」の仕事の大きな違いは「キープ力」です。
その場限りのヘアメイクは撮影するその「瞬間」が一番キレイでなければいけません。
裏を返せば写らない部分や「保ち」はあまり重要ではありません。
サロンワークの善し悪しは仕上がったデザインは当たり前ですが、そのスタイルをキープ出来るかどうかが決め手になります。
一ヶ月後でもまとまりのあるカットは「上手い」と言えるでしょう。
実は、カットには3パターンの切り方しかありません。
同じ長さに切る「ワンレングス」。
少し段差をつけてシルエットに丸みを持たせ動きを付ける「グラデーション」。
そして、さらに段差をつけて軽さを加えた「レイヤー」。
この3種類を組み合わせて一つのスタイルが出来ます。
ただ、それだけでは味気のなく固いジオメトリックなデザインになってしまいます。
丁度20年くらい前に「ハウスマヌカン」という言葉が流行ったときに流行した「刈り上げ」や「テクノカット」とかが有名です。
今はそれらとは違い毛先に軽さや動きを求めた「エアリー」な「質感」を求めたデザインが主流です。
前述の3パターンの切り方に加えレザーやストロークカットで軽さを加えて作ります。
しかし、ただ闇雲に軽くすれば当然毛先ばかりが軽くなり、「頭でっかち」なデザインになります。
また、毛先がパサパサになりすぎてまとまりもなくなります。
ポイントはその「質感をどう入れるか」にかかってきます。
トップのボリュームが欲しいところは「根本近くに立ち上がるように」。
ネープ(えり足)の首に向かった部分はタイトに。
前髪は立体感が欲しいときは生え際の髪の毛をわざと短く切って押し上げて顔から離れるように、タイトにしたい場合は・・・
と「見えない」部分に多くのテクニックを使います。
これは全て「デザインを立体的に見る」という能力が必要になります。
実は、その能力を培うには「スポーツ」が不可欠です。
スポーツをやることにより視野に立体感を求められます。
それが備わると平面的な写真やモニターで見ても写っているものの裏を想像することが出来ます。
これは美容師だけでなく医療の世界でも同じです。
内視鏡などのモニターを見ながらおこなう手術でもこの立体感が解る医者と解らない医者では手術の成功率が大きき変わるそうです。
だから勉強ばかりしてる医者は外科には向かないそうです。
髪の毛の生え方やくせは100人いれば100人とも違います。
それを瞬時に見分けながら適切なテクニックで立体感を出す。
そうすることでみなさんが手入れをしやすいカットができるってことです。
今度、僕の手元をよ〜く観ていてくださいね。
あ、でも、あんまり見つめられると恥ずかしいからチラ見にしてくださいね。へへへ。