「驚いたよ。君と出会ってからもう、こんなに年月が経っていたんだね。
最初は僕の一目惚れ。君が僕の目の中に飛び込んできたとき「こいつだ!」と思ったよ。
ほんと、「食べちゃいたいくらいだ!」と言う台詞は君のためにあったんだね。」
半ば強引に君を家に連れ込み、一緒の生活が始まったね。
君は良く僕に尽くしてくれたよ。
本当にありがとう。
でも、僕は、最初に思っていたほど君のことが好きじゃなかったんだ。
そのうち君にふれることも少なくなり、いつのまにかすれ違いで、忙しかった僕は君の顔を見る時間も少なくなっていたね。
そのうち、君以外に目がいくようになり、いつしか君より好きになり、君と暮らしている家にまで連れ込む始末。
僕はどうしようもない男です。
それでも君は文句一つ言わず、じっと僕の帰りを待ってくれていましたね。
でも、もういいんです。
どう、ののしられようとかまいません。
僕は本音で生きることにしました。
君がいることで僕の家のスペースが狭くなるのも嫌です。
さらに致命的なのは、君が年をとりすぎたということです。
普通、女の人は「年をとるほど円熟味を増す」と言います。
僕も年齢で女性を選んだりしません。
だけど、君は円熟味を増すどころか・・・・これ以上、君を傷つけたくないので言えません。
実は、昨日の夜、決めたんです。
朝、起きたら、君に別れを告げようと。
「さようなら」
君をゴミと一緒に出します。
だって、期限切れなんだもん・・・・・・・・・・・。
思い切って、冷蔵庫の掃除をしました。
年末は、忙しいので掃除と言うより片付けです。
僕の本格的な掃除は冷蔵庫から始まります。
何故かというと「捨てる」行為をためらわず出来るからです。
クローゼットや小物は賞味期限がないのでついつい「まだ使える」とか思うと取っておいたりして、いつのまにか部屋のスペースを占領してしまいます。
でも、1年間袖を通さなかった服や、3ヶ月間使わなかった小物は実は「賞味期限切れ」なんですね。
そのぶん、食品は分かりやすいです。
フタやパッケージにビシッと書いてあります。
どんなに好きでも、思い入れがあってもさすがに食べられませんから気持ちよくサヨナラできます。
冷蔵庫の中はタイムカプセルです。
掃除をした結果、最年長は2005年8月賞味期限の「酢味噌」でした。
たぶん、こんにゃくでも食べようとして買ったのでしょう。
一度も開封せずにサヨナラです。
全部、棚とか取り出して洗って殺菌。ああ気持ちいい。
さて、次はクローゼット。
ごめんね。薄情な僕を許してちょんまげ。
みなさんの家のタイムカプセルは大丈夫ですか?