僕たちの仕事はご存じの通り「美容師」ですから、「容姿を美しくする」のが仕事です。
「美しい」という価値観は言葉にすると簡単ですが一人一人異なります。
世界的に言うと、肌の色、体型、場所によれば、首が長ければ長いほど美しいと言われる種族もいれば耳たぶに穴を開け、ダンボのように大きく垂れ下がった方が美人だと言われる人たちもいます。
しかし、「美人」の黄金比率は存在すると思います。
トップモデルを見て「ブス」とか「スタイル悪いね〜」と思う人はあまりいないと思います。
もちろん「もっとふくよかな方が僕は好き」という人も大勢いるでしょう。
トップのビーナスの絵もそうですが描いた当時はこれが「最も美人」だったのでしょうが現代の僕たちから見ると「ちょっと太め」に見えますよね。
同じ国、似た環境にいても大きく異なる場合があります。
その「ズレ」を理解しながら「美人にする」それが僕たちの仕事です。
だから、決して僕の価値観を押しつけることはありません。
よく、美容室での会話で
「このほうがいいよ〜!」
「どうして?」
「だってこの方が可愛いじゃん。」
という会話を耳にすることがあります。(勤めてたときね)
これは単に美容師の可愛いという価値観を押しつけただけに過ぎません。
できあがって美容師は
「ほらね、可愛いでしょ?」
と満足顔ですがお客さんはそれでは満足できないと僕は思います。
「形」には視覚効果があります。
底辺が下にある三角形は「安定」を感じさせます。
逆に底辺が上にある三角形は「不安定」を与えます。
その「安定感」が「保守的」だとか、「真面目そう」な印象を与えます。
そして「不安定感」が「危なっかしい」とか「セクシー」な印象を与えます。
そうやって作ったデザインにはメッセージが宿ります。
「私はおとなしくて従順な女よ」
とか
「私の女らしさに気づいて」
とか。
ちなみに一部の男性が「ストレートのロングヘア」を好むのは「真っ白なキャンパスで何色にも染まります。」というデザインメッセージを望んでいるからだそうです。
以前、このブログでも書いて僕がいつもお話ししてる言葉ですが、洋服などのオートクチュール(オーダー)は相当お金がかかるので万人に楽しめるファッションではないかもしれません。
しかし、ヘアファッションは唯一デザイナーと相談し、「自分のための自分だけのオリジナルデザイン」がごくふつううの料金で楽しめるファッションです。
「可愛いって言われたい。」、「セクシーって言われたい。」
と自分のメッセージを持って来てください。
皆さん一人一人の中に小さくてもそのメッセージは必ず存在します。
それを大きくしたり小さくしたり彩りを付けるのが僕たち「美容師」の仕事です。
この夏、あなたはどんなメッセージを伝えたいですか?
おしまい