「トモさん、歌舞伎観たいって言ってたでしょ?中村勘三郎の襲名披露公演のチケット1枚だけ取れたけど行く?」
「えええっ!ちょ・・ちょっと待ってください!」
「もしもし、明日ね・・・」
正直に話した。
「いいよ、いいよ、それ、行った方がいいよ。また今度誘うからさ」
いい友達を持った。
「行きます!行きます!」
そしたら、作曲家の友達が
「トモさん、野球のチケットあるけど行く?巨人戦。」
古い友人が
「トモさん、久しぶり〜ロスから帰ってきたんだよ〜 時間取れたから今日ご飯食べに行こうよ〜」
norikoさんが
「今日、カラーとカットしにいっていい?」
大好物を並べられて「どれかひとつだけ食っていいよ」と言われてるようだ。
それでも歌舞伎にした。だって好きなんだもん。
店を4時に閉めて歌舞伎座に向かう。
演目は
1,「義経千本桜」
海老蔵の義経、菊五郎の源九朗狐。
海老蔵の凛とした演技、菊五郎の軽快な動き。
2,鷺の精 玉三郎
見所は衣装の「引き抜き」や「ぶっ返り」。
目を見張るような早着替え。
玉三郎の指先に至るまでの繊細な動き。「女性以上の女らしさ」がそこにはある。。
僕は思う。嫌われるかもしれないけど。多くの女性が「元から女である」ことにあぐらをかいて「女を磨いてない」。
それはお化粧をするとかオシャレをするとかではなく、立ち居振る舞いや言葉遣い。ゾクッ!とするような仕草。
今からでも遅くない!そう思う。
3,野田版 研辰の討たれ
脚本・演出:野田秀樹
中村勘三郎、三津五郎、染五郎、勘太郎、七の助、獅童、他
迷彩柄の袴を履いた勘三郎。解説無しでも楽しめるストーリー構成。
豪華な出演人。
どれをとっても面白くないはずがない。
僕が生まれて初めて行った歌舞伎も勘三郎(当時勘九朗)がでていた。
彼のお芝居は手放しで面白い。
東京の若い子がなぜ歌舞伎を観ないか。
それは学校の「課外授業」で歌舞伎を見に行くのだが若手のやってる歌舞伎だから有名どころは出てこない。
面白いはずがない。退屈で退屈でしょうがない。
そこに勘三郎が出てきたらそりゃあぶっ飛ぶよ。面白いよ面白すぎるよ。
クラッシックもそう。狭い視聴覚室で安いアンプとスピーカーでむりやり聞かされたらそりゃ嫌いになるよ。
そこにウィーンフィルとか連れてきて「ドォ〜〜ン!」とやれば好きになるよ。クラッシックが。
以前映画「プリティーウーマン」のリチャード・ギアがジュリア・ロバーツをセスナに乗せてオペラを見に行くんだけどそこで彼は
「最初にいいオペラを観ると、一生オペラを好きになる」
と言ったけどまさにそうだ。
最初が肝心。食わず嫌いにならないようにしましょうね。
あ〜楽しかった。