美容師の技術で一番最初に覚えるのが
「シャンプー」です。
新人の頃は、朝から晩までシャンプーしてます。
僕が新人の頃は「シャンプー台」から出てこられませんでした。
安いシャンプーや洗浄力の強いシャンプーを使ってる店だと、手が
カッサカサになってひび割れてしまいます。
毎日、仕事から帰ってハンドクリームを塗って手袋をして寝て、また翌日には
カッサカサになります。
美容師を志す人「
アーティスト」とか「
デザイナー」という言葉に惹かれます。
カットとかメイクなどの「デザイン技術」が好きです。
そういう人にとっては「
シャンプー」は「レストラン」で言う「皿洗い」や「野菜切り」みたいなもんでしょう。
なので
「早くシャンプーを卒業したい!」と日々思いながらシャンプーに入ります。
中には
「オレはシャンプーするために美容師になったんじゃねえ!」と早々と
辞めていく人もいます。
とてもいいことだと思います。多分、そんな人はこの先、美容師を続けてもとうてい「売れる美容師」にはなりませんから、早く次の「自分に合った」仕事を探すべきです。
「あれば」ですけど。
そんな美容師さんには「早く卒業したい」シャンプーですが、お客さんにとっては、ちょっと違います。
中には
「シャンプーを楽しみ」に来てくださるお客さんも少なくありません。
それはシャンプーが唯一、美容室で
「気持ちいい技術」だからです。
カットもブローも触られてるのは感覚のない髪の毛ですから気持ちよくはありません。
中には強く引っ張ったり、雑に扱って
「痛い」ときもあります。
カラーもパーマの待ってる時間はちょっと「無駄」を感じます。
でも、シャンプーだけは
「もうちょっとして欲しい♡」と思ってもらえるようです。
僕たち美容師の仕事を「
髪に触れる」仕事です。
当たり前ですが、普通、他人に髪の毛を触らせることはほぼありません。
好きな人や大切な人くらいです。
だからとても
「大切」なことです。
カットやパーマは間にコーム(くし)やハサミが入りますが、シャンプーは直接髪の毛や頭皮に触れます。
実は「
シャンプー」は「
髪や頭皮に触れる」とても大切な仕事で、そこで、「
タッチ」を学びます。
だからこそ
繊細なデザインを作ることが出来るのだと僕は思います。
そして、シャンプーには
「優しさ」が必要です。
お客さんに「合わせて」力を加減したり、念入りに洗ったり、お湯の温度を変えたりします。
それがあるからこそ、カットやパーマやカラーでも、お客さんひとりひとりに「似合った」デザインやカラーを提供することが出来るわけです。
なので、
「シャンプーが上手な人はいい美容師さんになれる」
ってことです。
せめて、たくさんいるアシスタントの中で
「あなたに洗って欲しいの♡」と言われるくらいじゃないとね。
俳句で有名な
「小林一茶」の言葉で
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ。」というのがあります。
シャンプーを卒業するのは日本一とは言いませんが、そのお店で
一番気持ちいいシャンプーをしてからでもいいと思いませんか?
ちなみに僕(トモ)は
シャンプー現役ですから、その辺の美容師さんなんかぶっちぎりくらいシャンプーは上手ですよ。(自称)
恵比寿 美容室 ヘアーハナ