Hanaの店の裏に「炭屋」さんがあります。
昔、恵比寿は国鉄の操車場があって、各地から石炭や薪など、燃料が送られてきてたそうです。
なので、この街は比較的「燃料屋」さんが多い街です。
ちなみに今は電気街の秋葉原はお米積み下ろしの問屋さんの街でした。
今では、恵比寿も様変わりし、燃料屋さんもどんどん無くなっています。
その中でも3代に渡り続いてる老舗の燃料やさんです。
お話を聞くと炭ひとつでもいろんな産地と種類があるそうで、それを仕入れて売るだけで無く、一度仕入れた炭を荷解き、自分たちで火を入れて爆ぜたりしないか試すそうです。
そうして質のいい炭を卸しているので、三星レストランや名だたる飲食店がお客さんになっています。
今の変な政治のせいで、円安になって仕入れ値がどんどん高くなり、安売りの飲食店も増え、チェーン店の中では値下げを要求してくるところもあるそうです。
それでも「質」にこだわり続けるところが、「信頼」というお金では買えないものになっているのでしょう。
最近では「ネット販売」をする同業者も増えているそうですが、「しないのですか?」と店主に聞くと、
「商売は相手の顔を見てするもんですよ。顔も知らない、声も聞いたことない人とまともな商売はできませんよ。」
と、朝から晩まで炭と向き合ってる店主の顔はいつも真っ黒け。手のシワも真っ黒。
でも、ニコッと笑う笑顔はとてもキレイに輝いていました。
「商売」を直訳すると「Business」になりますが、昨今のネットやゲームの誰が使っていて、誰が喜んでいるのか、データの上ではわかっても送り手側の人が受け取る側の顔を見ることのないのがビジネスで、相手の声を聞くことでより細かい要望や注文がわかり、そして顔を見ることで、喜んでくれる笑顔を見ることができる。
僕たち美容師がやってることはビジネスではなく、商売なんだなと、薪を割り、皮を剥がして使いやすくまとめている店主の素敵な横顔に感謝しました。