母さん、僕のあのぼうし、どうしたんでしょうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へ行く道で、
谷底に落としたあの麦わらぼうしですよ
母さん、あれは好きな帽子でしたよ
僕はあの時、ずいぶんくやしかった
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから・・・
詩人、西條 八十(さいじょう やそ)の『ぼくの帽子』の一節。
作家、森村誠一の代表作『人間の照明』でも引用されました。
映画では霧深い碓氷峠の渓谷に麦わら帽子が飛んでいくシーンが当時話題になりました。
故松田優作さんが主演の映画で、僕の好きな映画のひとつです。
1977年の映画ですから、当時、僕は中学生でした。
その時観た映画のロケ地を訪れることができるとは、そのころは指の先にも思いませんでした。
社員旅行で泊まった宿は群馬県の安中市というところにある"磯部温泉"というところで、
童話の"舌切り雀"の舞台になった場所で、
おばあさんが「川で洗濯を・・」の川の辺にある旅館に泊まりました。
2日目、帰りに真っ直ぐ帰るのもなんだからと、軽井沢に向かうことになりました。
途中国道18号線の「旧道」があり、そちらから廻っていくことにしました。
旧道だけあって、道幅は狭く、クネクネと曲がった道はまるでアトラクションのようでした。
「碓氷湖」を過ぎてしばらく進むと、目の前に「日本で一番大きな煉瓦造りの橋」と言われる「めがね橋」が見えました。
(正式名称は「碓氷第三橋梁」だそうです)
国鉄信越本線横川駅 - 軽井沢駅間の橋梁の一つで、同区間がアプト式鉄道時代に使われた橋です。
今は「アプトの道」と呼ばれ"遊歩道"として使われています。
(橋の上はこんな感じ)
当時は蒸気機関車が走っていて、トンネルに入ると"幕引き"というのがあって、煙が戻らないように汽車がトンネルに入ると大きな幕で入り口を塞いでいたそうです。
ただ、タイミングが難しく、間違えると一緒に吸い込まれて命を落とす人もいたそうです。
また、トンネル内も煙が充満して、運転手はタオルで口を押さえ、床に這いつくばりながら運転していたそうです。
なので、まさに命がけだったみたいです。
トンネルはけっこう長くて夕方6時まで電気が点いているそうですが、一人で歩くと昼間でもちょっと怖い感じがしますが、
幻想的でした。
(なんだか吸い込まれそうですね)
当日はあいにくの雨でしたが、逆に緑が映えてとてもキレイでした。
霧も出ていて、本当に幻想的な光景が見られました。
傘を持っていってなかったので、ミヨちゃんとアヤコは温泉用に持って行ったバスタオルを巻いて歩いてました。
(まるで、田舎のおばあちゃんみたいでしょ?)
近くに駐車場もあって、そこから歩けます。
混み合ってないときは道路脇に少し置ける場所もあります。
(まるで牛若丸ですが、昨日の草津温泉の硫黄の臭いで臭かったそうです)
最近では吉永小百合さんのJR東日本の"大人の休日倶楽部"「SLと鉄道遺産」篇でも紹介され、
これから夏にかけて観光客も増えることでしょう。
あまり、人がわんさかいると、ちょっと興醒めしてしまいますから、
観光シーズンを外して、是非、行ってみて下さい。