「トモさん、美容師さんは長い髪の毛をバッサリ短く切った方が気持ちいいでしょう?」
とよく質問されます。
いい機会なのでお答えしておきます。
「気持ちよくはありません。」
「バッサリ」っていう言葉の響きがそう思わせるのも知れませんね。
「ガッツリ食べる」とか「ドッサリ盛る」とか「バッサリ切る」などの「○○ッサリ!」って言葉の響きが「潔い」感じがするもんね。
ただ、これは「受け身側」の感覚で、例えば「ガッツリ食べる」側はいいけどその料理を作る「ガッツリ食べさせる」側は単に「多量に作ってるだけ」で、それは「気持ちいい」には繋がりません。
髪の毛は
身体の中で一番汚れる部分です。
身体は洋服を着たりするので直接汚れることはありません。
髪の毛はタバコの煙や、焼き肉の煙、いろんな臭いを吸着します。
さらに、ホコリや汚れや雑菌までくっつけます。
そして、身体の中で毛穴が最も大きいので、そこから分泌される皮脂も時間が経つと酸化して臭いを放ちます。
最近のシャンプーではやたら「
シリコン」などのコーティング剤が入っているので、そんな汚れや脂が蓄積されていきます。
これは、科学的に何の根拠も無い話ですが、髪の毛にはいろんな人生のしがらみや嫌のこともいつのまにか取り憑いているなんてことも言われています。
だからカットは定期的にするといいし、嫌なことが続いたり、今までやってきたことを一区切り点けたいとき、心機一転気持ちを切り替えたいときなど、「バッサリ」いくといいと言われます。
トモもたまに坊主にします。
話は戻りますが、ロングからバッサリショートにするときは、「毛先をそろえるだけ」と違い、全く新しいデザインを作るので、それだけの緊張感は切る方にもあります。
バッサリ切った髪の毛の断面は太くなるので、当然「なじみ」にくくなるので、ただ切っただけでは「散切り頭」になってしまいます。
だから、その辺の「毛先の処理」にも気を遣います。
切られる方も切った後のイメージがなんとなくしかつかめないので、不安も多いことでしょう。
でも、切り終わったとき
「切って良かったぁ〜〜!♡」
と言ってもらえるように自分の持てるテクニックを最大限に使ってカットします。
でも、これは「そろえるくらい」と言われたお客さんに対してもそうで、
「ただ、伸びた分だけ切ればいい」わけではなく、微妙に顔周りやバランスも考えながら切らないと立体的なデザインにはなりません。
さらに、髪の毛が全て同じ長さだけ伸びるわけではないので、その辺も考えながら切らないと結局違うデザインになります。
さらに、「伸ばしてる」途中の人も伸ばした後のデザインも考えながら切るので、同じ「そろえるくらい」でも毎回微妙に変えています。(トモはね)
だから「バッサリ」も「揃えるくらい」も手間や気持ちの上でのテンションはあまり変わりありません。
もし、「気持ちいい」と言わせてもらえるならば、
それは、切り終わって仕上げた後、
「やっぱりトモさんに切ってもらってよかった〜!♡」
と言ってもらえたときに心の中で『ヨッシャ!』とガッツポーズを決めたときですかね。